DR800S

since 1990

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ファラオの怪鳥

1980年代、欧州を中心にラリーの人気が爆発したころ、各メーカーもワークスマシンでレースに参加していた。

1986 BMW 「HPN GS」

1986 HONDA 「NXR750」

1986 YAMAHA 「 FZ750 Ténéré 」

1987 CAGIVA ELEPHANT

いままで単気筒だったラリーマシンが、より速さを追求して多気筒へ進化していた時代である

BMW:水平対向2気筒

HONDA:V型2気筒

YAMAHA:並列4気筒→単気筒→並列2気筒

CAGIVA:L型2気筒

YAMAHAは迷走したものの無事並列2気筒におちついたようだ

そんななか我らがSUZUKIもラリーマシンを出してきた

単気筒で!

1987 SUZUKI 「DR-Z(ジータ)Ⅰ型」

多気筒化の時代にSUZUKIが馬鹿でかい単気筒でしかも変なクチバシのバイクを出してきたぞと周囲をざわつかせた

しかもファラオラリーで翌年勝ってしまう!

だれが呼んだか「ファラオの怪鳥」の異名はここから

そのDR-ZのレプリカといえるのがDR750S

1988 SUZUKI 「DR-Z(ジータ)Ⅱ型」

1988 SUZUKI 「 DR750S 」 

量産単気筒車で世界最大排気量として君臨した

その後はストロークが6mmアップで排気量を779ccまで上げて1990年からDR800Sとして販売

先代モデルから量産単気筒で世界最大排気量を自ら更新

そんな巨大な単気筒エンジンを搭載した2台をまとめてDR-BIGと呼ぶ

DR800Sはさらに前期型と後期型があり、1990年モデルの前期型はDR750Sとうり二つ、1991年以降の後期型はスタイリッシュになった

DR750S

DR800S(前期型)

DR800S(後期型)

道なき道を突き進むラリーマシンであるDR800Sは前期型の燃料タンクが29Lもある

さらにシート高890mmもあり、低身長お断りなのだが、巨大なタンクが邪魔で長身のライダーが乗ると足が収まらない問題があり後期型ではタンク容量を5L減らして解消した

「ファラオの怪鳥」と呼ぶことがあるのは、ファラオラリーでの活躍からと特徴的なクチバシのようなデザインから怪鳥を連想させてのことは前述したとおり

クチバシデザインの衝撃が大きかったのか「オフロード版カタナ」なんて呼ばれたりもしますが、カタナのデザインで有名な「ハンスムート」氏とは一切関係ない

1981 SUZUKI 「 GSX1100S KATANA 」

ただ、DR-BIGの販売当時は、クチバシの評判は良くなかった

へんなクチバシとか言われてたバイクが後世人気になるとは誰が予想できただろうか、まさか令和にレプリカカラーがでるとは当時は夢にも思ってないだろう

1988 SUZUKI 「DR-Z(ジータ)Ⅱ型」

2023 SUZUKI 「 V-STROM 800DE 」

今やアドベンチャーバイクの定番になっているクチバシデザインはBMWのGSシリーズが有名だが、5年以上前にSUZUKIが採用している

1994 BMW 「R1100GS」

なのでDR乗りにむかって「なんかGSみたいなバイクだな」と迂闊なことを言うと

クチバシで突かれるかもしれないから気をつけろ

DR800S SPEC

年式1990年式
車両型式
原動機油冷4ストロークSOHC 4バルブ単気筒
排気量779cc
内径×行程105×90mm
最大出力54PS/6,600rpm40kW/6,600rpm
最大トルク6.32kgf-m/5,400rpm60N・m/5,400rpm
乾燥重量185kg
車両重量?kg
全長2255mm
全幅945mm
全高1295mm
軸間距離1520mm
シート高890mm
タンク容量29L
変速機常時噛合式5段リターン
駆動機構チェーン
タイヤF 90/90-21R 130/80-17
ブレーキF ディスクR ディスク
価格 930,000円(税抜)

注:仕向地等で誤差あり

余談

誰が呼んだか「怪鳥」と呼ばれるこのバイク

SUZUKIのカタログに「怪鳥をイメージしてデザイン」

まさか自社発祥の呼び名だったとは