since 1974
孤高のスピリッツ
ピストンを使った往復運動を回転に変えるのではなく、元から回転運動を行えば効率が良いはずと研究開発されたロータリーエンジン(狭義ではヴァンケルエンジン)
車ではmazda「RX-7」がロータリーエンジン搭載車でとても有名
mazda 「 RX-7 」
ロータリーエンジンの原理は古くからあって1957年にドイツのNSU社とWankel社の共同研究で開発に成功
ロータリーエンジンはおむすび型のローターを使って熱エネルギーを回転動力に変えるしくみ
当時はレシプロに代わる夢のエンジンともてはやされた
当然日本企業も注目し、kawasaiki、YAMAHAそしてSUZUKIもNSUとライセンス契約を結んで2輪への搭載を目指した
しかしロータリーエンジンは耐久性に大きな問題を抱えており
本家のNSU社からライセンス契約した会社へ向けて送られたエンジンですら10分程度でブローするような代物だった
そんななか世界で初めてロータリーエンジンを搭載したバイクとしてHERCULES社から「W2000」が市販された
1973 HERCULES 「 W2000 」
しかし耐久性に問題を抱えているのは同じで信頼性は著しく低かった
日本の各メーカーもロータリーエンジン搭載のコンセプトモデルをモーターショーに展示することはあっても、耐久性の問題は解決できず市販は見送っていた
しかしSUZUKIだけはあきらめず、自社で設計開発を進めてついに市販できるレベルのものを製造した、それが「RE-5」である
1974 SUZUKI 「 RE-5 」
UZUKIはハウジング内のメッキ加工やチタン炭化物製のアペックスシールを用いて耐久性を向上させ、出力も750ccクラスの性能を持たせた
排気量は497ccである、これはロータリーエンジンの排気量をレシプロに換算する場合、
1.5倍にすることを考えてのこと
計算するとRE-5はレシプロの745cc相当
つまり国内販売の可能な自主規制750cc以内に収め、国内で販売しようと目論んだ
デザインにも気合が入っていて、イタリアの鬼才ジウジアーロ氏に頼んだ
(日本車だとアルシオーネSVX、117クーペ、ピアッツァなんかが有名で個性的)
デザインで特徴的なのが、メーターフードで通称「茶筒」と呼ばれる円筒形
キーONで自動で開く機構が付いている
車体で目立つのは巨大なオイルクーラーとラジエターで、熱のきびしいロータリーエンジンへの苦労の後が見て取れる
ロータリーエンジンの乗り味は、低速のトルクは細いものの回せば回すほどパワーがついてくるエンジンで、モーターのように回る感覚はレシプロでは味わえない
そんな気合の入った作りのRE-5だが ロータリーエンジンの排気量を何ccで登録するか問題になり
国内での登録ができなかった
さらに販売した年はオイルショックや中東戦争のせいで原油の値段が高騰、日本経済に大打撃を与えた
燃費が悪く、車両価格も高いRE-5は致命的な被害を被った
翌年マイナーチェンジで細かい部品をGT750と共有化し、特徴的なメーターフードも通常のものを備えコストを抑えて販売した
1975 SUZUKI 「 GT750 」
しかしロータリーエンジンの燃費の悪さはどうにもならず、発売からわずか2年で販売を終了した
国産でロータリーエンジンを搭載した量産バイクは後にも先にもRE-5だけである
RE-5 SPEC
年式 | 1974年式 |
---|---|
車両型式 | RE5 |
原動機 | 水油冷2ストロークシングルロータリー |
排気量 | 497cc |
内径×行程 | ?×?mm |
最大出力 | 62PS/6,500rpm45.6kW/6,500rpm |
最大トルク | 7.6kgf-m/3,500rpm74.5N・m/3,500rpm |
乾燥重量 | 230kg |
車両重量 | 257kg |
全長 | 2220mm |
全幅 | 885mm |
全高 | 1190mm |
軸間距離 | 1505mm |
シート高 | ?mm |
タンク容量 | 17L |
変速機 | 常時噛み合い式5段リターン |
駆動機構 | チェーン |
タイヤ | F 3.25-19-4PRR 4.00-18-4PR |
ブレーキ | F ダブルディスクR ドラム |
価格 | ?円(税抜) |
注:仕向地等で誤差あり